・長年のこじらせ愛が昇華されるのを見届けたい方
・性悪イケメン男子が、一途に片想いしていた相手と結ばれた瞬間から、健気な可愛さを連発し、その高低差ギャップに胸キュンしたい方
終わらない不幸についての話 緒川千代
中学の頃に密かに好きだった清竹誠司と再会した烏童隆之。相変わらず清竹はまっすぐで、すっかり遊び人になった自分とは大違い。もしも女の子だったら。もしもキスをしたら。もしも、もしも…。何百万回と予想してた。恋心が消えない烏童は清竹と強引に身体を重ねるが――。カバーイラスト一新、単行本描き下ろしつき新装版。※本書は海王社より配信されていた「終わらない不幸についての話」に単行本描き下ろしを追加収録したものです。
拗らせ一途愛✖️包容力ワンコ
中学の頃、同じバスケ部だったと清竹。当時は烏童の方が身長が高かった。清竹の好きなタイプは髪の長い小さい子。自分は清竹の理想には程遠い。「清竹の身長が伸びますように。」初詣、隣でそう祈る隆之の本当の意味を清竹は知らない。
8年ぶりに飲み会で再会した2人。バスケをやめ、すっかり遊び人となった隆之と、大学でもバスケを頑張るまっすぐな清武。中学の時に清竹が付き合っていた彼女を隆之が横取りしてからというもの、2人は疎遠に。彼女は特に好きじゃなかったけど、自分が好きな清竹に彼女ができるのが許せず、彼女を奪っていた。
飲み会でも清竹は昔から好きなタイプが変わらず、髪の長くて小さな女子といい感じに。酔った清竹を介抱しようとするその子を遠ざけ、自分の車に連れていく隆之。8年の思いが溢れ、この不毛な恋を終わりにしたい、泥酔している清竹にタチ専にも関わらず受けとなり自分から身体を繋いだ。清竹は気づかずに朝を迎える。
烏童がもうバスケをやっていないことを知った清竹。あんなに上手だった隆之がバスケを辞めたきっかけは、以前彼女を奪われたことで、烏童を責めたのが原因だと思っていた。
隆之よりも清竹の身長が高くなっていると指摘され、ずっと烏童に勝ちたいと思っていた清竹は烏童を引き連れ、すぐに医務室に身長を測りにいく。清竹の方が1㎝高くなっていた。清竹のタイプの小さくて可愛い子には当てはまらない、清竹より身長が高いことで、清竹が自分を好きにならない言い訳にしていた。そんな隆之より清竹の身長が1㎝高くなっていた。気持ちのロックがはずれ、烏童は清竹にキスをする。
ドンと突き放す清竹。隆之の想定通りの反応。もうなるようになれと、酔って車の中で起きた出来事を暴露する。からかって楽しいかと怒る清竹に、「ずっとそうしたかった。8年間思い続け、完全な一方通行な恋でも、嬉しかった」と泣きながら語る隆之。自分じゃ終わらせられなかったこの恋を完璧に振られることで終わりにしたい。そう思っていたが、8年も自分を好きでいてくれた隆之に心動かされた清竹は、「好きかはわからないけど、今この手を離せるほどお前のことをなんとも思ってないわけじゃない。今は慰めたい。」ともう1度キスをする。
筆者考察
誤算のハートのスピンオフ、烏童くんの兄の話と、烏童&三城のその後が読めます。 烏童兄、隆之は見た目もよく完璧で男も女もやりたい放題、そして性格が悪い。なのに、中学から想い続けている清竹には不器用な愛情しか示せないピュアな乙女。そして面倒くさい。でも好きになった清竹には健気な一途愛を貫いています。その真逆で、清竹は真っ直ぐでおおらかでいい人。隆之の気持ちを知り、受け入れたいと思っている。
隆之は清竹の理想になれない、自分は清竹には釣り合わないと理由を並べ、一緒に前に進もうとしてる清竹を裏切るような行為もする。でも清竹の悪口を言っている人が言ったら、いつもはクールなのに殴りかかってしまうくらい、清竹のことが大好き。健気なギャップにキュンとします。
清竹が隆之に向き合って、素直な気持ちを伝え続けて、やっとやっと隆之も受け入れて…いつ振られるかわからない不安や、清竹から普通の恋愛を奪った後悔もあるけど、ずっと好きだった人と一緒の布団で眠れる幸せを噛み締める隆之…終わらない不幸を抱えながら幸せになってほしい。
続編の「やまない不幸の終わらせ方」「誤算で不幸な恋話」や烏童弟の溺愛むっつり優等生✖️アホ可愛わがままカップルの「誤算のハート」もすごくおすすめです。