ちょっと待とうよ、春虎くん あらすじ感想
・BL初心者で何を読んでいいかわからない
・課金をするなら失敗したくない
・切なくて甘い何度も読みたくなる高校青春ピュアらぶ作品に出会いたい
ちょっと待とうよ、春虎くん 作者 あめきり
高校生の粋は、ゲイであることが周囲に知れ渡って以来、マスクで表情を隠しながら学生寮でいじられキャラを演じている。2年生に進級し、春虎という新入生と同室になった粋。春虎の素直な性格と、部活にまっすぐ打ち込む姿に惹かれていき……? 孤独を抱えた高校生×秘密の趣味を持つお隣さんのご近所ラブ読み切りも同時収録。
高校の寮で同室になったゲイのスイとバスケに打ち込む後輩の春虎。ベンチ入りができるようにバスケの朝練を頑張る春虎を一生懸命応援するスイ、春虎も励まされていた。
過去に同室の子にゲイバレして、同室は無理と拒否されてしまったり、周りにもゲイであるが故のからかいを受けていた。笑わなきゃいけないのに笑いたくない時にマスクをして表情を隠すようになっていた。そんな理由から、春虎とは適度な距離を保たなきゃいけない、好きってバレないように。でもどんどん春虎の素直な性格に惹かれていく。
ある時、寮のメンバーからスイはゲイだということをばらされる。咄嗟に、春虎は全然タイプじゃない、パリピが好み…など思ってもないことでその場を取り繕う。気持ち悪いって思われないように、嫌われないように…。でも春虎は翌日部屋でクラッカーを鳴らしてスイを迎え入れ、パリピを意識した装いに。自分の隣がスイの心休まるように努力をしていく姿勢を見せる。ちょっとズレているが、優しい春虎の気遣いに嬉しくなるスイ。普段はマスクで笑ったフリをしているが、自分の前だけではマスクをとって欲しい。そんな春虎のお願いに恥ずかしがるスイ。「恥ずかしがるスイ先輩、ツボみたいです。」とそのままキス…。でも、「間違えました…。」と言われてしまうスイ。二人の展開はいかに。
ピュアピュア♡むずキュン高校青春らぶ
自分がゲイだと周りに知られたら…きっと私もスイ先輩と同じようなことをするのではないか、周りのゲイいじりを嫌だと思っても適当にあしらい、からかわないでとか言えないだろう…好きな人に迷惑がかかると思って好きな気持ちを伝えようともしないだろうな…。そんなことをぼんやり思いながら読み進めました。でも運命的に出会った好きな人が自分を好きでいてくれる奇跡を体験し、その恋人から「先輩がからかわれているのが悔しい、悲しい」と言われてしまったら。自分への言動で、心を痛めてくれる誰かがいる。恋人に大事にしてもらっている自分を今度は自分も大事にしなきゃ、そう思って一歩踏み出して行動していくスイ先輩が”オレはオレに生まれて良かった”。と思えたラストで良かった。自分の性に悩む全ての人に読んでほしい。人が人を好きになることの素晴らしさ、今は悩んでいても、受け止めてくれる人が必ずいる…そんな人生で大切なことを思わせてくれる作品です。
前置きが長くなりました。
とにかく受けのスイ先輩が可愛い。攻め後輩、春虎の言動にあたふたドギマギ…。純粋に春虎を思うが、ゲイの自分が春虎に近づくと春虎に心無いことを言う人がいるかな…と気持ちに蓋をしてしまいます。
が、好きと言わないだけで、抱きしめたり、スイのために色々考えてくれて言葉にしてくれる春虎とすれ違いはありつつも、割とすぐに両思いになります。スイは心無いゲイいじりをされるけど、空気を読んで、笑ってごまかして、適当にその場のノリに合わせて返すというリアルにいそうな男の子設定。スイは春虎と両思いになれて幸せで、そんなゲイいじりも無敵状態でスルーできるようになったが、春虎は違う。
「からかわれているいる先輩を見るのが、悔しい、悲しい。」自分に向けられた言葉に、傷つく誰かがいたなんて…。今までの友だちとの関係性を変えるのは怖いけど、自分を大切にしてくれる春虎のために、変わろうとするスイがマスクを取り自らの声で振り絞って伝えた勇気が本当にすごいと讃えたい。
最後は自分が自分でよかったと思えるスイを見て、最後まで読んで良かったなと思える作品でした。恥ずかしさを克服するためにノーパンで過ごしたり、夢精続きのくだりの話など、笑えるところもいっぱいあります。